★☆ 星になった友人の記録

大切な友人の記録です。

 彼の娘や孫たちの姿をも記録に残したいと思います。

1.与えられた24時間

 

エレベーターの扉が開き
彼女がうつむきながら外へ出てくる
彼女を見つけた僕が声を掛けた
「久しぶりやね・・忙しい?」
「うん 少し大変」
「お母さん(彼の)の事は大丈夫やからね」

~~~~~

緊急入院で友人が病院に担ぎ込まれた。
彼は5年前に胃癌で一度入院
2年後に肝臓に転移した腫瘍を克服しその後の骨盤と肋骨、頭蓋骨への転移を

遺伝子治療薬で進行を抑えながら普段どおりに 生活できるまでに回復していた。
担ぎ込まれたことを知ったのは彼の次女からの悲痛な電話だった。
「お父さんがおっちゃんを呼んでくれって言ってる」

血の気の引いたベッドの上の彼は
「俺はもうあかんかもしれん、でもまだまだいけるかもとも思うねん・・・」
うつろな目の焦点が定まらない錯乱状態だった。

彼の企画で友人たちと日帰りの旅行に行ったのは1ヶ月前。

骨盤の転移が少し進行して車椅子だったが、彼は誰から見ても元気そのものだった。
時間を作って毎日見舞いに行くことにした。
床ずれの悪化と肺への転移がきっかけだったが床ずれの処置で意識も落ち着き、

普段どおりの悪態をつくまでになった。

そんな状態が3日前に急変し、一時血圧が20台になりこん睡状態になった。
しかし、友人たちの他愛無い思い出話を聞いているように思えてしょうがない。
時折、痛がるようなしぐさを見せる。
主治医の処置で外されたモルヒネの投与を再開してくれるよう彼の娘たちとともに懇願した。

仕事の都合で数時間外した病室に帰ってくると彼は声は出せないものの意識を取り戻していた。
友人たちにすぐに会いに来るよう連絡。
娘たちと話をして、2年前に様々な事情で離婚した彼の元嫁に連絡した。

~~~~~

「お父さん!お母さんが来たよ」
「お父さん!わかる?」
彼女は彼を見て絶句しながらも枕元へ行き、彼の手を握った。


「お母さん、お父さんの顔の上で名前を言ったげて」
手を握りなおし、胸元へ持って行った後顔を近づけた。


「功ちゃん! 静代よ! わかる?」
彼は大きく首を縦に振った後、顔を歪めて涙を流しながら彼女の手を強く握るのが見て取れた。


娘たち。居合わせた友人。彼女との確執があったであろう彼の母親皆が嗚咽とともに見守った。

 
「お父さーーーん・・・お母さーーーん」」 
娘たちの声が病室に何度となく響いていた。

~~~~~

「功之! ちょっと仕事で出て来るわ 3時頃には帰ってくるからな」
翌日昼頃に頷く彼に言い残し病室をでて、帰ってくると昏睡していた。


そして昨日からこん睡状態が続いている。

彼は貴重な24時間を神様から与えられたんだろうか

2.兄弟の絆・・・・2006.4.28

 

病院に泊り込んで2日目
夜中に彼の兄が緊急の仕事を終えて来たが
彼は意識が戻らない


彼ら兄弟は本当に仲の良い二人だった


翌日の昼頃 彼の兄が来た時に彼に声を掛けた
「功之! お兄ちゃんが来たで わかるか?」
彼の傍による兄
「功之 おい!来たぞ オレや!わかるか?」
「・・・・」
「見えてる・・・」
誰もが聞き取れる声で酸素マスク越しにはっきり聞こえた。
兄弟を病室に残して僕たちは部屋を出た。


夕方昏睡する彼を見ていると寝不足の疲れからか
とてつもなくブルーになってしまった。
「今日は帰ってゆっくり休んで明日の朝来るわ」
と彼の母と長女に言い残し病室をでた。

今日の朝高熱が出たようだが体の機能が回復している
右肺はだめだが機能していなかった左肺が復活した


彼は気力で回りに勇気を与えているんだろう

3.ドラマの終演・・・・2006.4.30

 

4月25日以降数々のドラマを演じてきましたが

 4月30日17時18分 無事終演を迎えました。

ボクも『魔法使い』の役で出演することができました。

 夢の世界から彼を呼び戻す役目です。



彼とのコンビもバッチリでした。

 ここぞ!という時に必ず帰ってきます。

真骨頂は10分前にやってきました。

 どうしても娘たちと話をさせたい!!

やっぱり帰ってきてくれました。

 ん~さすが!



 君には主演男優賞をあげよう!

4.お葬式の不思議・・・・2006.5.3

 

彼の通夜は多くの親族や友人知人が訪れ大いに賑やかだった

彼の棺の前は夜中まで賑わい思い出話に花が咲いた

 ボクと言えばお棺に抱きつき寝ていたそうだ^_^;

翌日の葬儀で悲しくてヨヨと泣き崩れた瞬間

 なんと!数珠が切れて玉が散らばった

『お前泣くなよな・・・』と言われた気がした


焼き場に迎えに行った後の初七日の法要では

 読経を聞きながらどこかの世界へ行っていたようだ

隣の友人に肘鉄をかまされた『鼾かくなよな!』

 オレらしいかも・・・^_^;


『とにかくゆっくり休め!』
翌日の友人からの気遣いの短い電話とメールが嬉しかった

 言葉通りその後の3日間はほとんど寝て過ごした
 ずっと彼の夢を見ていたような気がした

さぁ今日から復活の狼煙をあげよう!

5.四十九日の別れ・・・・2006.6.17

 

もう四十九日になるんだよね


 『・・・ご家族や友人のけじめなんですね今日という日は』
 読経の後の坊さんの優しい言葉が直球でズドンと胸に響く。
 彼の坊さんも震災の時に隣の部屋の幼い子供たちを亡くし、
 でもなを周りの多くの人々やその家族を思う読経の数々を
 限りなくこなしてきた心中を思うと、その少ない言葉の重さ
 や優しさが限りなく尊く感じた。


今日の今日まで、友人の前で手を合わすことはしなかった。
できなかったと言ったほうが正しいかも知れない。
何故ならそこに居るのが分かるから。
でも今日の坊さんの言葉で理解しなければならないと思う。


『・・・オレやっぱり納骨まで無理やわ・・・』
 彼の兄姉たち、娘たちご両親と8時間ほど話し(飲み?)
 続けたが、僕には理解できないのだと言うことが分かった。
 だから今度は百か日までケジメは先延ばしにする事にする。

 なんだか彼の困った顔を思い出した気がした。

6.4人目の孫・・・・2006.7.10

 

4人目の孫です。

・・・んなわけありませんが、でも孫のような気がします。
先日他界した友人の次女の二人目の子供です。長女にも二人の子供がいるわけで、4人目となります。

この二人の娘たちは生まれる前から知っているわけで、特に次女はボクのひざの上で育ったようなもの。 彼女は色々な問題を露呈しながら育ってきました。虐めにあって登校拒否を繰り返したり、家に帰ってこない生活をしたり・・・その都度 一緒に泣いたり、繁華街を探し回ったり・・・

でも今考えると問題の根っこは彼女にあったのではないような気がしています。

友人が昏睡を始めた時に渡した『鏡の法則』に誰よりも反応し、彼の最後に決して言えなかった「お父さん!ごめんなさい!!」を叫んだ・・・そんな彼女ですから、様々な実体験を通じて とても感性豊かな、優しい女性へと成長したように感じます。生まれた子供との葛藤を通じて益々人としての成長を望んでいます。またそれを見守ると共に、この娘の人生を通じてボクも成長してゆきたいと思います。

おめでとう!
そして
ありがとう!

7.初盆の清清しさ・・・・2006.8.17

 

友人の初盆のお参りに行ってきた。

今回は素直にお参りすることが出来たようだ。また、納骨の済んだ墓にも参ってきたけど居なかったように思う。彼の坊さんにも声を掛けられ、なんだか親族のようにも思えてきた。


友人のご両親や叔父叔母、兄弟姉妹さらに娘や孫たちが集い、新しい命の誕生と相まって賑わいが最高潮に達した時 彼の写真が笑った気がした。


いつものように遅くまで飲んだくれたが、穏やかに楽しく思い出話をいつまでもしていたような・・・

 

 

気がつくと家に帰ってた。

8.一周忌の喜び・・・・2007.4.30

 

彼の一周忌は賑やかだった。

 

多くの友人が集まった事もさることながら

彼の就業していた会社の社長が東京よりお参りに来てくださった。

 

彼が居た事は会社の歴史に刻まれますから・・・

はっきりと力強く語った言葉が、そこに居合わせた誰もの心に

刻まれると同時に胸を熱くした。

 

 

私と言えば、頭を下げるばかりしか感謝の気持ちを伝えられなかった。

 

 

 

友人や彼の母や兄姉との語らいが時間を忘れ

彼の思い出でその場を溢れさせた

 

 

私の一番の楽しみは彼の娘たちや孫たちに会うことだった。

大きくなった孫たちの成長の姿と共に

娘たちの健康な笑顔を見れることが最高の喜び。

 

彼女たちの帰り際で

孫たちとのスキンシップと共に

母親となった娘たちの頭を撫ぜてやる事に

私も彼女たちも何の違和感もなく

再会の早いことを祈るばかりだ。

 

ありがとう

 ありがとう!

 

 

9.三回忌の笑顔・・・・2008.4.27

 

彼の三回忌は笑顔が溢れていた。







 亡くなってもなを彼の存在は
 友人との関係性をより強固なものにする


出会う彼の親戚の親しげな笑顔も
自分がここにいる事もしっくりとくる


 今回は彼の兄がなんとも懐かしい彼の写真をどこからか発掘し
 デジタル化してパソコンで眺めることができた。


やはり一番の楽しみは、彼の娘や孫たちに会うことだ。
膝に乗ってくる孫に接すると、彼の娘が小さかった時を思い出し抱きしめたくなる。彼が逝ったあとに生まれた孫も大きくなり抱っこをせがむ。


 別れ際には彼の娘たちに、いつものように頭を撫ぜてやる事が
 彼の気持ちを代弁するボクの役目なのだろうと思う。



また、夏に会おう!

10.facebookに感謝・・・・2012.1.11

 

6年前に逝去した彼の娘とFacebookを通じて繋がり、

今日は4年ぶりに再開を果たした。

 

 

 

 

 

 

彼女が子供の頃はいつも膝に抱えて彼と飲んでいたお気に入りの娘。反抗期にも色々あった。

 

 

 

今日は彼女の二人の息子たちを連れて花鳥園へ、今日の夕餉は彼女と一緒にお酒を飲みながら日頃の愚痴を聞く・・・それが彼との約束。そんな気がするとっても嬉しい日だ。

 

 

 

これからは彼に代わって人生を垣間見る役割を担いたいと思う。 

 

 

 

 

ありがとうFacebook。

11.実家でいいんだよ・・・・・2012.3.17

 

 

先日facebookで再開した彼の娘と子供たち。
今日はお姉ちゃんも子どもふたり連れで来てくれたよ

 

 

 

 

 

彼女たちは
よく考えると実家と呼べる場所がない。


うちを実家と思ってくれていいんだよ。
妹は再会以来、自宅が近いこともあって
良く来てくれる。

いやいや、昼間に良く来てくれているらしい。
うちの嫁が本当に良くしてくれる。
ありがたい事だ。



よ~く考えてみると
お姉ちゃんとは、うちの娘の高校生時代の同級生だったりする。

 

 

 

娘は嫁いで家にはいないが
なをさら、実家でもいいんじゃない!?

 

 

だから、いつでも遊びにおいで(´∀`) 

12.七回忌の喜び・・・・・2012.4.29

 

 

もう、こんなに時間がたったんだね

 

 

 

 

 

 

 

友人もたくさん来てくれた。
彼の親戚の皆さんにも会えた。

 

 

 

子供たちは
時間と共に成長著しい。

 

 

齢をとらないのは
お前だけやな

 

 

 

娘たちもいいお母さんになった。
孫たちも元気に育ってる。

 

 

そんな報告をするたびの献杯で
緩やかに時間が流れる。

 

 

彼の献杯の杯の酒がなくなっている。
周りを見回したが・・・
やはり来てたんだな。

 

 

 

娘たちはオレが見守るからな
まかしとき 

 

 

 

13.突撃してきたぞ・・・・・2017.1.3

今日は
彼の次女ファミリーが突撃してきたぞ!
朝から晩まで 食べて飲んだくれた正月三昧

 

 

2歳半の娘がみんなの注目の的。

命が弾む子ども達が元気をくれる

 

 


ほら やっぱり実家になっただろ

 

 

 

でも来てくれて ありがとーヽ(;▽;)ノ

14.今年も来たぞ~・・・・・2018.1.3

今年も
彼の次女ファミリーが突撃してきたぞ!
やっぱり今年も
朝から晩まで 食べて飲んだくれた正月三昧

 

 

子どもたちも大きくなり

相変わらず末娘の天下だ!

 

 


まってたぜ!
ありがとーヾ(*´∀`*)ノキャッキャ

15.今年は増えたぞ~・・・・・2020.1.3

今年は
長女ファミリーも突撃だ~
もちろん次女ファミリーが突撃してきたぞ!


やっぱり今年も
朝から晩まで 食べて飲んだくれた正月三昧

 

子どもたちも大きくなりました。